UPDATE | 2022年04月01日
日本の漢字は、同じ漢字でいろいろな読み方があります。みなさんは「何」を「ナニ」と読むか「ナン」と読むか、わからない時がありませんか?
このコラムでは「ナニ」と「ナン」の読み方のルールを教えます。ときどき、ルールと違うこともありますが、その時は日本人の話し方をよく聞いて覚えましょう。
INDEX
生活でよく使う漢字(常用漢字)の読み方を調べる本『NHK新用字用語辞典 第3版』では、「ナン」という読み方は「特別なもの」か「用法のごく狭いもの(=あまり使わない)」と書いてあります。でも、これはこの辞書がNHK(日本放送協会)がテレビやラジオで使うとき、文を書くときに使う辞書だからです。
私たちが人と話す時には「ナニ」も「ナン」も、どちらもよく使います。では、どうやって「ナニ」と「ナン」の読み方を分けているのでしょうか。
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「ナニ」は、「どんな(もの)」(=what kind of, which)で使うことが多いです。
Q.何県(なにけん)に住んでいますか?(A. 神奈川県に住んでいます)
Q.食べもので何(なに)が好きですか?(A. ハンバーガーが好きです)
「ナン」は、「いくつ」(=how many)で使うことが多いです。何回、何冊、何本、何個など、答えが数字になる時は「ナン」を使います。
Q.去年、本を何冊(なんさつ)読みましたか?(A. 10冊くらい読みました)
Q.商品はあと何個(なんこ)、残っていますか?(A. 2個残っています)
そして、同じ漢字の言葉でも「ナニ」と「ナン」で質問の意味が変わります。
Q.何色(なにいろ)が好きですか?(A. 赤が好きです)
Q.何色(なんしょく)使いますか?(A. 3色使います)
Q.私は何(なに)クラスですか?(A. 〇〇さんはBクラスです)
Q.この学校は何(なん)クラスありますか?(A. 7クラスあります)
Q.今年は何年(なにどし)ですか?(A. 2022年は寅年です)
Q.今年は令和何年(なんねん)ですか?(A. 2022年は令和4年です)
話す時は意味を考えて、「ナニ」と「ナン」を使ってみてください。
「何です」「何だ」「何の」「何と」 この「何」の読み方は全部「ナン」です。つまり「何」の次の音が「d」「n」「t」の時は、読み方が「ナン」になることが多いです。
・なんで~?(どうして?と聞きたい時)
・なんでもいいよ~(どれにする?と聞かれた時)
・なんの話?(何を話していたか、知りたい時)
・なんでもないよ~(何の話をしてたの?と聞かれて、言いたくない時)
ところで、「なんだって!」はマンガやアニメではよく使っていますが、いつもの会話ではあまり使いません。
何してるの?/それ、何?/何がいい?/何にする? などは「ナニ」でも「ナン」でも大丈夫です。同じ会話で、2つを見てみましょう。
①「ナニ」...なにしてるの?/それ、なに?/なにがいい?/なににする?
②「ナン」...なんしてるの?/それ、なん?/なんがいい?/なんにする?
①のほうが、ていねいでやさしい感じがします。私が②の言い方を使うのは、家族、仲がいい友達、方言で話す時などです。
西日本や九州の方言(ある市町村や都道府県など、その地域だけで使う言葉)ではよく「ナン」を使います。方言の「ナン」もわかるようになると、会話が楽しくなりますよ。
・なんて?(何と言いましたか?)
・なんもわからん(何もわからない)
・なんなん?(何ですか?)
みなさんは日本語で会話をしている時、言いたいことがうまく言えない時にどうしますか? そんな時は、次のような「ナン」ことばを使ってみましょう。
・「なんて言うか」「なんて言えばいいかなあ」(言いたいことを言葉にできないとき)
・「なんかへんじゃない?」「なんかわからないけど」(理由がわからないとき)
では、今日のコラムの復習です。下の1.2.3の「何」は「ナニ」「ナン」のどちらの読み方でしょうか。わからない時は、もう一度コラムを読んでみてくださいね。
1.何でも聞いてくださいね。
2.何かあれば、連絡してください。
3.えっ、何これ! どうしたの?
最後まで読んでくれてありがとうございました。
来月のコラムも、どうぞお楽しみに!
クイズのこたえ(1.ナン 2.ナニ 3.ナニ ※2と3は「ナン」と言う人もいます)
九州の日本語学校や大学で日本語を教えています。ゲームと漫画が大好き。 日本語を勉強している人のために地域の日本語教室を創るコーディネーターやWebライターの仕事もしています。
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