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UPDATE | 2022年07月01日

日本の夏の風物詩(ふうぶつし)

いよいよ夏本番になってきましたね。皆さんは「日本の夏」と聞いて、何をイメージするでしょうか。今回は、日本ならではの夏のイベントや食べ物などを紹介したいと思います。日本独自のものもあれば、皆さんの国と同じものもあるかもしれません。ぜひ、比べながら読んでみてください。

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「風物詩」とは本来「景色や季節をうたった詩」のことで、そこから「その季節になると思い浮かべるもの、ある物事が始まると、この季節だなと感じるもの」を表すようになりました。
日本の春と聞いて、日本人の私達がイメージするのは「桜」ですね。
秋は色とりどりの風景が楽しめる「紅葉」、冬は「温泉」や「こたつ」「鍋」などが思い浮かびます。
では、夏といえば...?


花火(はなび)

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世界の国々では新年を迎える際に花火を打ち上げるというのが一般的なイメージかもしれませんが、日本人にとって花火は夏のイメージが強いです。

一年を通して色々なお祭りが行われますが、その中でも花火大会は大人から子どもまで楽しめる夏の定番行事です。

7月~8月にかけて日本各地で花火大会が開催され、多いところでは1万発以上の花火が夜空に打ち上げられます。

打ち上げ花火の歴史は江戸時代にさかのぼり、もともとは死者たちの慰霊(いれい)や疫病退散(えきびょうたいさん)の願いを込めて始まったお祭りです。日本の夏はとても蒸し暑いことから、夜風にあたりながら花火を眺めるという夕涼みの文化として夏に行われるようになったと言われています。


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浴衣(ゆかた)

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花火大会をはじめとして夏のお祭りの時期には浴衣を着て歩く人達が多くなります。もともとは風呂上りなどに着る室内着でしたが、江戸時代から明治時代にかけて浴衣の用途が変化していきました。着物よりも薄くて簡単に着られることから、夏の外出着として定着していったそうです。

涼しげに見える白や紺色が定番ですが、赤や黄色、ピンクなどカラフルなものも人気です。浴衣を着て下駄(げた)で歩くと「カランカラン」という音がして、夏らしい雰囲気が感じられます。


かき氷(かきごおり)

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夏のお祭りに欠かせないのが、屋台のかき氷です。細かく削られたフワフワの氷の上にカラフルなシロップをかけて食べます。食べ過ぎると頭がキーンと痛くなるのですが、それも思い出の一つですね。

昔はよく家庭でもかき氷を作って食べていました。シロップはイチゴ味やメロン味が定番で、練乳(れんにゅう)をかけて食べるのもおすすめです。現在はおしゃれなかき氷専門店も増えていて、宇治抹茶やマンゴーを使ったものなど様々なバリエーションのかき氷が食べられます。


スイカ割り(すいかわり)

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夏といえば、やっぱり海。7月中旬から8月末にかけて海水浴を楽しむ人達でビーチが賑わいます。そこでよく目にするのが「スイカ割り」です。日本のアニメやドラマで見たことがある人も多いのではないでしょうか。

砂浜で目隠しをした人が他の人の指示に従って動き、棒でスイカを割るゲームです。私も何度か挑戦したことがありますが、思っている以上に難しく、なかなか割ることができませんでした。参加者が交代で挑戦していき見事スイカを割ることができたら、みんなでシェアして食べます。


蝉(せみ)

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「ミーンミーン」と蝉の鳴き声がどこからともなく聞こえてきたら夏の始まりを感じる人も少なくないと思います。蝉は何年も土の下にいて、やっと地上に出てきたので毎日全力で鳴きます。

これをうるさいと思うか風流だと思うかは人次第ですが、梅雨の終わり頃から8月にかけてどこに行っても蝉の鳴き声が聞こえてきます。これも日本の夏の風物詩の一つとはいえ、日本で初めて蝉の大合唱を聞いた方はびっくりするかもしれません。公園で子供達が蝉取りに夢中になっている姿は今も昔も変わらない光景です。


風鈴(ふうりん)

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もともとは魔除けの意味もあったようですが、現在では一般的に夏の涼を楽しむアイテムの一つとして玄関や窓の近くに飾ります。風鈴の本体はガラスでできていて、その下に細長い紙がついています。「チリンチリン」という音とともに風鈴が風に吹かれている様子を眺めていると、心穏やかになります。

基本となる透明のほか、青や白など涼しそうな色が多く、金魚や花火などの絵が描かれているものもあります。エアコンがなかった時代に涼しさを演出してくれ、暑い夏を少しでも快適に過ごすための道具として広がっていったようです。


扇風機(せんぷうき)

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エアコンが広く普及した今でも日本の夏に欠かせないのが扇風機です。日本で初めて扇風機が作られたのは江戸時代だと言われています。当時は手動で動くタイプだったようですが、扇風機を動かすのに汗をかいてしまいそうですね。

エアコンが一般家庭に普及するまでは扇風機だけで暑い夏を乗り切っていました。エアコンに比べて電気代が安いのと、軽量で持ち運びができるというのが扇風機の利点です。現在は机の上に置けるものや手持ちタイプなど、用途に合わせて様々なものがあります。


蚊取り線香(かとりせんこう)

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日本をはじめアジアの国々には蚊が多いです。少しずつ暑くなってきて蚊が飛び始めると夏を感じる、という人も多いと思います。そんな時に役に立つのが「蚊取り線香」です。

蚊に効く成分が練りこまれた線香で、一番の特徴は渦巻のようにグルグル巻きになっている形です。寝ている間に蚊に刺されることも多いため、長時間安全に使える方法はないかと試行錯誤(しこうさくご)した結果、この形になったそうです。渦の外側の先端に火をつけると少しずつ燃えていき、約8時間ほど使えます。


麦茶(むぎちゃ)

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日本の夏の飲み物といえばやっぱり「麦茶」です。現在はコンビニなどでたくさんの種類のお茶がペットボトルで売られていますが、家庭の冷蔵庫にある冷たいお茶といえば麦茶が定番です。

実は麦茶には水分補給だけではなく、血液をきれいにしたり虫歯を予防したりする効果もあるそうです。昔から外出から帰って来た後の水分補給や、夏休みのクラブ活動の後など、暑くて汗をかいた後には疲労回復もかねて冷たい麦茶を飲むことが多いです。


ラムネ

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こちらも夏の飲み物として日本では昔から人気があります。イギリスから伝わった炭酸飲料のことで、もともとは英語の「レモネード」という言葉からきています。

フタの代わりにビー玉を使った「玉詰め瓶」という瓶に入っているのが特徴で、瓶の口についているビー玉を上から指で押すと勢いよく泡が出てきます。飲むたびに「カランコロン」とビー玉が瓶に当たる音がして楽しいですよ。私が生まれ育った大阪では、たこ焼きとラムネが定番のセットでした。


素麺(そうめん)

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日本の夏の料理の定番といえば「素麺」です。うどんやそばよりも麺が細いのが特徴です。麺をサッと茹でた後、冷たい氷水につけて冷やしてから麺つゆにつけて食べます。卵を薄く焼いて細かく切ったものや、ハム、きゅうり、生姜、ネギなどのトッピングが一般的です。

食欲が少なくなる夏には冷たい麺がぴったりですね。100円ショップやスーパーでも売られているのでまとめて買っておくと家で簡単に作ることができます。

切った竹などを使ってスロープを作り、麺を水と一緒に上から流して、それをキャッチして食べる「流しそうめん」も人気があります。


いかがでしたか? 日本の夏の風物詩を楽しんでもらえたでしょうか。日本の夏は蒸し暑く過ごしにくいですが、夏だからこそ楽しめることもたくさんあります。ぜひ、日本の夏を体験してみてくださいね。


この記事を書いた人

阪口裕子

大阪出身のフリーランス日本語教師兼ローカルガイド。2020年に京都の魅力にハマり、2021年に移住。現在はプライベートレッスンをメインに日本語を教える傍らライティングや中日翻訳校正、オンライン体験などを企画運営している。

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