UPDATE | 2022年03月10日
1月、2月と寒い時期が続いて、3月になると少しずつ春の訪れが感じられるようになります。日本の春といえば、やっぱり桜ですよね。友達や家族とお弁当などを持ち寄って桜の下で楽しい時間を過ごす、「花見」は日本人にとって特別なイベントです。今回は花見の歴史とあわせて関西のおすすめ桜スポットを紹介します。
INDEX
そもそも、お花見の習慣はいつ頃から始まったのでしょうか。 実はその歴史はとても古く、約1300年前の奈良時代が始まりだと言われています。 当時は桜ではなく、中国から伝えられたばかりの梅の花を貴族たちが鑑賞するというものでした。庭に広がる梅の景色を眺めながら宴会や和歌作りを楽しんでいたそうです。
その後、平安時代(約1200年前)になると花見の主役が梅から桜に変わっていきました。そして時代が移り変わっていく中で武士の間でも花見の習慣は受け継がれ、江戸時代(約400年前)になると一般の人達にも花見の習慣が広がっていきました。 この時期に全国的にソメイヨシノという種類の桜が植えられ、現在私達が街中で目にする桜の多くはこのソメイヨシノだと言われています。
昔から桜には春に山から降りてくる「田」の神様が宿ると信じられていて、桜の花の咲き方で農作物の収穫を占ったり開花時期に合わせて稲の種まき準備をしたりと、農民にとって桜はとても大切なものでした。 また、厳しい冬の寒さで食料がなくなってしまったり病気の流行で亡くなる人も多かったことから、辛い冬を乗り越え無事に春を迎えられたことをみんなで一緒にお祝いするという行事でもあります。
さらに、現代の日本の学校は卒業式と入学式がちょうど桜が咲く時期にあるので、桜を見ると友達とのお別れや新しい環境に飛び込むドキドキした気持ちなど何とも言えない複雑な感情が湧き上がってくるのです。 子どもの頃に親と一緒に見た桜を、大人になって今度は自分の子どもの成長と共に楽しむ。このように、遥か昔から現在に至るまで、桜は日本人にとって欠かすことができない大切な存在なのです。
海外にも桜の木はありますが、日本のように公園や並木道などどこでも桜が見られるわけではありません。また、日本の花見のような習慣もないので、実際に日本に来て花見を体験するのを楽しみにしている方も多いようです。 よく海外の方に驚かれるのが、日本ではどこでもお酒が飲めることです。国によっては屋外でお酒を飲むのが法律で禁止されているところもあるので、満開の桜の下で日本のお酒が味わえるというのは貴重な体験だと思います。 つい飲みすぎて帰るころにはフラフラに...なんてこともよくあるので、お酒はほどほどに楽しみましょうね。 (日本では20歳未満の人はお酒を飲んではいけないので注意してください。)
豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)によって建てられた大阪城を中心に広がる緑豊かな公園で、駅からも近い都会のオアシスとして知られています。公園内にある西の丸庭園(にしのまるていえん)は、ソメイヨシノを中心に約300本の桜が植えられていて、毎年家族連れでにぎわっています。約1270本の梅の花が咲く梅林も人気のスポットです。
私も子どもの時から学生時代、社会人になってからもほぼ毎年花見の時期には足を運んでいます。
大阪城の公園内はとても広いのでいろいろな場所で花見が楽しめます。一番人気はお城と桜が両方楽しめるお堀周辺で、写真撮影や絵を描いている方もこの時期は多く見かけます。
夜はライトアップされた桜の下で仕事帰りのスーツ姿のサラリーマン達が宴会で盛り上がっています。大学を卒業して社会人になったばかりの新入社員達の歓迎会として花見が行われることも多いです。
大阪城公園の周辺にはオフィス街が広がっているので、ランチタイムに気軽に立ち寄れるのもいいですね。
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「日本の道100選」に選定されている哲学の道は、哲学者や文人達がこの道を散策したことが名前の由来です。全長約2kmの散策道には約400本のソメイヨシノなどの桜が並んでいて、満開時の桜のトンネルは本当に感動的です。
道幅が狭く昼間は混雑することが多いので、早朝の散歩をおすすめします。
誰も歩いていない通りを歩いて満開の桜を独り占めすることができるのは、何とも贅沢(ぜいたく)な体験ですね。
ひらひらと散る桜の花びらが川を流れていく様子は何とも風情があり、観光客だけでなく地元の人達にも大人気のスポットです。
通り沿いにはカフェやお茶屋さんなどいろいろなお店があるので、席に座ってゆっくり桜の景色を眺めることもできます。
山全体が世界遺産として登録されている吉野山には、山桜を中心に約3万本の桜が下・中・上・奥の4カ所に密集しています。「目に千本見える豪華さ」という意味で「一目千本(ひとめせんぼん)」と言われていて、それぞれ下千本(しもせんぼん)、中千本(なかせんぼん)、上千本(かみせんぼん)、奥千本(おくせんぼん)と呼ばれています。
展望台から眺める壮大な桜の景色は言葉では表現できないほど迫力があり、山の奥深くまで綺麗なピンク色が広がっています。
奈良の中心地からは少し距離がありますが、電車を乗り継いで行くことができます。なだらかなハイキングコースになっているので家族連れにも人気です。
こちらの桜は遅咲きのものが多く、4月後半ごろまで楽しむことができます。
宿泊施設もたくさんあるので、せっかくなら1泊してゆっくり吉野の大自然を満喫したいですね。
いかがでしたか?
まだまだおすすめしたいところはたくさんありますが、今回はこちらの3か所にしぼって見どころを紹介しました。
日本人と桜の関係を知ることで、お花見をもっと楽しむことができるのではないでしょうか。
桜の時期に日本を訪れた際には、ぜひ日本ならではのお花見文化を体験してくださいね。
大阪出身のフリーランス日本語教師兼ローカルガイド。2020年に京都の魅力にハマり、2021年に移住。現在はプライベートレッスンをメインに日本語を教える傍らライティングや中日翻訳校正、オンライン体験などを企画運営している。
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