UPDATE | 2020年10月13日
他の言語と同じように、日本語も地域によって発音や品詞が変わることがあります。地方だけで使われるそんな言葉のことを「方言」と言います。日本語の試験や入試で出る日本語は東京の言葉がほとんどですが、実は東京の言葉も正しい言い方は「東京方言」で方言の一つなのです。この記事では大阪の方言を例に挙げ、東京方言との違いを見ていきます。
INDEX
私は日本語学校で学生に日本語を教えていて、大阪府出身だと言うと学生たちからよく「大阪の方言を教えてください」とお願いされます。他の地方もそうですが、大阪の方言はたくさんあるので、そんなときは二つ有名な例を挙げて説明します。「ほかす」と「あかん」です。
「ほかす」は「捨てる」、「あかん」は「だめ」という意味です。大阪出身でも目上の人と話すときは使わないことがありますが、私の場合、友達や家族と話すときは、「捨てる」「だめ」ではなく、「ほかす」「あかん」と言っています。
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東京に来て驚いたことがあります。物を「しまう」ことを大阪では「なおす」と言う人が多いのですが、東京で友達に「なおしておいて」とお願いしたとき、「何をなおすの?」と聞かれました。
東京の「なおす」は「直す」(「修理する」)、「治す」(「病気を治す」)という二つの意味があります。しかし「しまう」という意味では使わないそうです。大阪に住んでいた私は、友達に教えてもらうまで日本全国で通じる意味だと思っていました。
もちろん方言は大阪だけのものではありません。たとえば、「ものもらい」という目の病気がありますが、それを大阪などの関西地方(京都府・滋賀県以外)では「めばちこ」、京都府、滋賀県では「めいぼ」と言います。
他の地方では「めもらい」、「ひめ」、「ばか」と呼んでいるところもあるそうです。他にも東京方言と他の地方の方言では、同じ言葉を使っていても発音が全然違うこともたくさんあります。
日本語には「やばい」など、若い人だけが使っている若者言葉があります。東京以外の地方も同様で、世代によっても使う言葉は変化します。
昔ながらの方言を知りたい人は、年をとった人の言葉を聞いてみると良いかも知れません。若い世代を中心に、だんだんと東京方言に近い話し方をする人が増えている地域もあります。
また、同じ都道府県に住んでいるからといって、同じ方言を話すとは限りません。私の出身の大阪も、北部と南部で言葉や発音が少し違います。
もし東京以外の場所に住むことがあれば、その土地の方言や、方言がどの年代でたくさん使われているかを観察してみましょう。勉強してきた日本語と全然違っていて驚くこともあれば、面白いと感じることもあるはずです。
読書が好きなフリーライター。大阪で生まれ育ち2010年に上京。取材記事や書評、コラムを執筆。現在は文筆業のかたわら、都内の日本語学校で外国人に日本語を教えている。
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