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UPDATE | 2022年12月01日

日本の温泉文化を知ろう

いつの間にか季節は秋から冬へと移り変わり、日に日に寒くなってきましたね。 みなさんの国では寒い冬の時期をどのように過ごしますか? 日本には昔から、寒い時は温泉に入って温まるという習慣があります。 今回は日本の温泉文化について紹介したいと思います。

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温泉の歴史

日本と言えば温泉を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、実際には日本にどのぐらい温泉があるのでしょうか。
現在、日本には3,000の温泉地があり、源泉地(地面から温泉が湧き出る場所)は2万7千ほどあると言われています。
日本の地形は火山帯の上に位置していることもあり、世界にある活火山の約7%の火山が日本に集中しています。
火山の近くで降った雨や雪の一部は、地下に染み込んで地下水になります。その地下水が火山の下にある1,000℃以上もあるマグマの熱によって温められて、湧き出してきたものが温泉になります。

温泉の起源に関してはいろいろな説があり、はっきりとわかっていませんが、今から約1,300年前の奈良時代の書物にはすでに温泉についての記述があったそうです。
日本では昔から、温泉に入って病気やけがの回復を早めるという「湯治(とうじ)」という考え方があります。
古代ギリシアやローマ帝国など、ヨーロッパにも長い湯治の歴史があるように、医療が発達していなかった時代の人たちにとって温泉は万能薬のような存在でした。
日本では7世紀ごろから皇族を中心に湯治が取り入れられるようになり、その後、少しずつ各階層の人々にも普及していったと言われています。
また、日本で禅宗が広まった際に、日本全国を行き来する禅僧たちによって湯治文化が広められたとも言われています。
江戸時代以降は湯治の目的だけではなく、交流の場所として気軽に温泉を楽しむ人が増えました。
現在は、日常を忘れてリラックスするために温泉を訪れる人が多いです。

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温泉のマナーとルール

日本で初めて温泉に入る時に困らないように、基本的な温泉のマナーとルールを確認しておきましょう。
最近では海外の方も安心して入れるように、イラストつきで英語や中国語など多言語で説明が書いてあるところも増えています。

①お湯に入る前に必ず「かけ湯」をして身体をきれいにする。
②髪が長い人は、お風呂の中に髪が入らないように頭の上でまとめてくくる。
③タオルはお風呂の中に入れないようにしましょう。
④お風呂の中で泳いだり大声で話したりすると他の人の迷惑になります。
⑤浴室から出る時はしっかりタオルで身体をふきましょう。
⑥入浴前にお酒をたくさん飲むと倒れる可能性があるので、飲みすぎ注意。
⑦脱衣所や浴室の中で携帯電話やカメラは使ってはいけません。
⑧浴室で髪を染めたり、洗濯したりしてはいけません。

基本的なルールは大体このぐらいですが、場所によってそれぞれ独自のルールを設けているところもあります。
小さいタトゥーであれば絆創膏(ばんそうこう)などで隠せばOKですが、背中や腕など目立つところにタトゥーがある場合は断られることもあります。
公共の温泉に入れない場合は、プライベート温泉がある宿泊施設を選ぶようにしましょう。

温泉スポットの紹介

では最後に、「日本三名泉」と呼ばれている温泉スポットを紹介します。
室町時代の書籍にも登場することから、このように呼ばれるようになったそうです。

①草津温泉(くさつおんせん)
草津温泉
どこにあるの?⇒地図はこちら
【電車】JR吾妻線「長野原草津口駅」より草津温泉方面行きバスで約25分
群馬(ぐんま)県にあるこちらの温泉街は、毎分3万2,300リットル以上、1日にドラム缶約23万本分の温泉水が自然に沸き出しています。強い酸性で温度が高いのが特徴です。草津温泉街のシンボルでもある「湯畑(ゆばたけ)」という源泉は24時間営業で、常に湯けむりが舞い上がっています。
昔から薬湯として有名で、今でも身体の治療のために草津を訪れる人が多いです。
情緒たっぷりの温泉街を浴衣でブラブラ散策するのがおすすめです。

②下呂温泉(げろおんせん)
下呂温泉
どこにあるの?⇒地図はこちら

【電車】JR高山本線「下呂駅」から徒歩すぐ
岐阜(ぎふ)県に流れる飛騨川の近くに湧いている「下呂温泉」は、約10万年前に噴火した火山の頂上付近にあり、約1,000年ほど前に発見されたと言われています。
泉質はアルカリ性単純温泉で、なめらかなお湯が特徴です。ツルツルでスベスベしたお湯の肌触りがよく、「美人の湯」とも呼ばれています。
戦国時代、この温泉は隠し湯だったと言われており、戦いでけがをした人たちの湯治として利用されていました。
外湯(そとゆ)という公共温泉もいくつかあり、人目が気にならなければ開放的な雰囲気を楽しむことができます。

③有馬温泉(ありまおせん)
有馬温泉
どこにあるの?⇒地図はこちら
【電車】神戸電鉄有馬線「有馬温泉駅」下車すぐ/梅田駅からバス
兵庫(ひょうご)県の山の奥地にあるこちらの温泉街は1,300年の歴史があり、有名な武将「豊臣秀吉(とよとみ ひでよし)」のお気に入りの場所だったと言われています。
大阪や神戸の中心地からバスや電車で行きやすいので、海外観光客にも人気の温泉街です。風情ある街並みが桜や紅葉の時期はさらに美しくなります。
温泉旅館では神戸牛などのグルメも一緒に楽しめます。「金泉」と「銀泉」をはじめとして合計7つの泉源があり、スタンプラリー形式で全ての泉源を巡ることもできます。

いかがでしたか?
日本の温泉文化の歴史やマナーを事前に知っておくと、安心して温泉を楽しむことができます。
寒い季節に日本を訪れる際は、ぜひ日本各地にある温泉巡りにトライしてみてくださいね。

この記事を書いた人

阪口裕子

大阪出身のフリーランス日本語教師兼ローカルガイド。2020年に京都の魅力にハマり、2021年に移住。現在はプライベートレッスンをメインに日本語を教える傍らライティングや中日翻訳校正、オンライン体験などを企画運営している。

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